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2009年2月 3日 (火)

◎ 『RADIO AM神戸69時間震災報道の記録』  2002年10月刊

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 サブタイトルのように地震当初からのラジオ放送を時系列にそってそのまま活字化している。95年1月17日早朝の出来事。当時のぼくの住んでいた高槻市は京都と大阪の中間点にあった。とても激しい揺れだった。仕事場は七階の古いマンションだったから壁にひび割れができたり食器棚から食器が飛び落ちてみな割れた。本棚はほとんど倒れたしTVやワープロも床に落ちてオシャカになった。仕事場に入ったとき足の踏み場もない状態で、ここに居なくてよかった、これは大変な被害だと思った。
 神戸は「それどころじゃない」ことを後で知ったが最初まったく情報がなく「死者が何人かでたらしい」ぐらいの話だったのだ。結局死者6400人以上という大災害だったが現場ラジオで69時間も放送し続けていたことは全く知らなかった。「奇跡的に生きていたリクエスト用の専用電話を介して」被災した人たちの救援放送局としてAM神戸は機能した。あとがきに「あの混乱のなかでは「確認」作業が非常に難しかった」とあるようにあえて誤報のあったことも含めて再現している。一人のリスナーとの自然発生的な交信で始まるこの記録はあの地震のなにもかもを語っているようだ。アナザ−サイドということもあるが自然災害に遭遇したときの助け合う人々の肉声が聞こえるようだ。この本はただ貴重な記録というだけではなく放送局の人たち自身の救援活動も含めて結局は「人が生きる」ことのちからを示唆しているように思えてならない。ぼくはこの本の内容に関わったすべての人に心からの敬意を表したい。

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●A4判ソフトカバー、ボール函入り。この本の要は何より本文。じっ懇の、長征社の市山隆次さん、大石十三夫さんの仕事。2段組で280頁。写真のように11級のちいさな文字がびっしり詰まっていて圧倒される。カバーも函もマットインキ1色使用。装幀者としてはどうしても無地に墨1色の構えしか思いつかなかった。地震後、暫くそれに関する装幀依頼は多かったがどの本も失われた人への痛切な思いがこもっていた。この記録が決定的なのはアナザ−サイドでありながら地震災害の本質があらわになっている点にあると思う。それは時として残酷だがそれも「情報」というもののかたち、彼我が共有する絶対時間のなのだから...。社屋内停電直後、十数分から始まり69時間、絶望と励ましが人の心に訴え続けたこととはいったい災害のことだけだったのか...メディア関係の人だけでなく、誰もが図書館で是非読んでみて、感じて欲しい一冊だと思う。この本は2003年の第37回造本装幀コンクールで部門賞(その部門での最優秀の本)を受賞した。これ、すなわち「本文」に与えられたものであるとぼくは確信する。

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