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2008年8月 7日 (木)

◎馬場あき子歌集『飛天』

Hiten

四六判上製本の歌集。「月光はレモンの香となりてわれのみが冬の仕事はたさず」まったくぼくもその通り家人に迷惑をかけつつ生きています。これでいいのでしょうか。ん、誤読?そうかも知れませんね。
 この表紙も本クロスの背継ぎ。ひら面のシェレナという紙は岩肌っぽいマチエールをもつぼくの好きな紙のひとつ。いつもそうだがプレッシャーに苦しんだあげくにこの紙を選んだ。光っているのが嫌いだという著者もいるからだ。ただやたら光りものを使っているわけもなく、よくよく考えてのことだから勘弁して下さい。記念会などで馬場さんを見かけるとちょっとびびってしまう。でも話っぷりがたいへん好きで以前、塚本邦雄さんのお葬式で弔辞を聞いた時その口跡はみごとにカッコよかった。(不謹慎ですみません)うちの母もいい口調をもっているが性分が似ている?のかも知れない。
 『阿古父』という読売文学賞の歌集(第十三歌集)がぼくは好き。グラシン紙天地巻きというやつで薄紙の中から赤金箔のタイトルがにぶく光っている。バック色フレームの薄はなだの上にちようじ紋様の図案。なぜちょうじなのか。最初そのかたちを見たとき「阿古父面」に似合っていると直感した。能面にこれほどの軽快さは発見できなくともテクストから「すこし離れること」ができるのだと思う、そういう直感だ。面そのもの
よりそのほうが圧倒的に爺の香りがするというものだ。「付き添わない意匠」はぼくのその頃のモットーだったからこれでいいと思った。

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