◎岡井隆『けさのことばⅠ・Ⅱ』 2007年12月・2009年・3月刊。
この数冊は中日新聞の朝刊コラム『けさのことば』2001〜06年連載分をまとめたもの。あとがきに「朝のコラムでありますから、できるだけ明るく前向きの内容をこころがけて...」とある。
大岡信さんの『折々のうた』や坪内捻典さんの『季節のたより』などと同様に新聞の片隅に120字程度の短い文章で解説感想を加えているもので、たいていの新聞にはこういうコラムがある。内容は短歌、俳句、詩、古今東西の人生訓、箴言など各種である。毎日のことだから数年分だと大変な量になる。これらの本はだから分厚い。巻末の索引を入れるとおよそ600頁。むろんこれでも抜粋なので、1984年から25年間となれば相当な量だ。
「どの路地も海に通じて十二月」
という坪内捻典さんの俳句が載っている。「海は明るくて展望の開ける場所なのだ」と岡井さん。ごく最近、坪内さんと飲む機会があり、「どうですか」「何も変わりませんよ」という会話。いつもそうだが、句風と違って何気ないのがこの俳人(ひと)の特徴だ。マッコリ酒をおすそ分けすると「強いのはあまり飲めないので」と言ってひと口、そのあと麦酒をちびっと。白髪の下の顔はすでに赤い。こんなのもある、
「責めらるればひきしまり、惠まるれば弛む」。
前後があるが、ぼくが崇拝するウィリアム・ブレイクの[地獄の格言]にある言葉だ。岡井さんは「苦悩の人生を生きたブレイクは恵みによってゆったりとする憩いの時を望んでいたのではないか...」と。
画家ブラックや西行やゲーテやヴィトゲンシュタインのことばもある。文型として小さく読みやすくなっているがぼくはやはり「ニュアンス」の残し方に岡井さんの妙を感じている。答えを用意せず、断じがなく、やさしいのである。朝刊のコラムというのはかくありなん。
●A5判変型本。ホントはこの判型で他に3種ある。また86年発刊の二巻は四六判変型、三冊めは四六上製とご覧のように全巻まちまちのサイズ。最近の二册は日本伝統文様からそれぞれ「紫陽花」「黒水仙」の図案を使用。二冊ともカバー用紙はクロコGA。見返しや表紙はオリヒメとかシマメとか、ざらついた質感の紙を選んだ。こういう本には当然ながら質感。右は皇室向け特装本。スカーフマチエール紙と本クロスとの背継ぎ装。もちろん普及装もある。
| 固定リンク





















最近のコメント